死亡による逸失利益とは、交通事故によって被害者が死亡した場合に、被害者が生存していれば、将来労働によって得られたであろう収入を得られなくなったことによる損害です。
死亡による逸失利益は、被害者が死亡しなければその後の就労可能な期間において得ることができたと認められる収入の金額(基礎収入)から、将来支出されたであろう生活費を控除し、就労可能な年数に応じた中間利息の控除を行って算定されることになります。死亡逸失利益の算定においては、基礎収入や生活費控除率が問題になります。基礎収入については、実収入が賃金センサスよりも少ない場合に、実収入で算定するか、賃金センサスで算定するかという点が問題になります。また、生活費控除率については、生活実態にしたがって、ある程度概括的な認定になります(たろえば、30%とか50%といったように)。また、年金受給者の場合、生活費に費やされる割合が高くなると考えられることから、通常の場合よりも生活費控除率が高く認定される傾向にあります。