交通事故の当事者が損害賠償請求をする際に、加入する保険会社が300万円を限度に弁護士費用を負担する特約です。交通事故にあわなければ必要ないわけですが、一方的な被害事故で相手が保険に加入していないような場合は、どのようにして被害を回復するかは一般には難しい面があります。
また、被害事故であるにもかかわらず、相手が非を認めなければ相手が加入する保険会社から治療費等の対応をしてもらうことができません。そんなときには自賠責保険への被害者請求や訴訟提起等を検討する必要がありますが、自身で行うことは困難な場合があります。そのような場合には、弁護士費用特約が役に立ちます。
なにより、相手方との交渉、訴訟を弁護士に委任する際にお客様自身の費用負担が多くの場合に全くなくなるという意味でも非常にメリットがあります。
なお、おいおいニッセイ同和損害保険株式会社の弁護士費用特約は、被害事故だけでなく、無責事故にも利用できます。つまり、自分が被害者であっても、相手から訴えられて自身の賠償保険を利用することになる場合には、通常、賠償保険の利用により等級が下がることになるのですが、無責事故でも弁護士費用特約を使うことができるのであれば、等級が下がることを避けることができます。
<弁護士費用特約に関する参考判例>
1 名古屋地裁平成26年2月14日判決・自保ジャーナル1922号186頁
乗用車で契約した弁護士費用特約が、原付自転車運転中の被害事故に適用されるか争われた事案で「本件原付特約第3条(1)に被保険者の所有等する原動機付自転車(本件原動機付自転車)を被保険自動車とみなすとの条項があり、その注意書に「被保険自動車について適用がされる他の特約を含みます。」との記載があっても、本件弁護士特約第1条においては、被保険自動車は保険証券記載の自動車(本件自動車)と限定して定義されているのであるから、本件弁護士特約において、被保険自動車に被保険者の所有等する原動機付自転車(本件原動機付自転車)が含まれる余地はないと解される」としました。
<コメント>
本件は、被害者(死亡)の相続人らが、被害者が契約していた保険会社に対して弁護士費用特約保険金を請求した事案です。裁判所は、原付特約で想定されている「他の特約」について、被保険者が賠償責任を負う場合や自損事故、人身傷害事故による損害を負う場合の特約をいうと解し、弁護士費用特約とは趣旨・目的が異なると判断しました。
弁護士費用特約の利用が可能かどうかについては、ご自身の契約に弁護士費用特約が付いているかはもちろん、弁護士費用特約が付いていた場合であっても、実際に保険会社から支払を受けることができるかどうかについては、約款の適用・解釈の問題がありますので、契約する保険会社に問い合わせをすることをお勧めしております。