飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「簡易裁判所への訴えの提起」についての解説です。
【訴えの提起について】
訴えの提起の仕方については、民事訴訟法は、「訴えの提起は、訴状を裁判所に提出してしなければならない。」(民事訴訟法(以下では、「法」と略します。)133条1項)と定めており、訴状による訴えの提起を原則としています。
また、その訴状に記載する内容については、民事訴訟法は、「一 当事者及び法定代理人 二 請求の趣旨及び原因」(法133条2項)と定めています。
なお、請求の趣旨とは、「原告は、被告に、金200万円を支払え」といった、裁判所に示して欲しい結論になります。
そして、請求の原因とは、法律効果を発生させる上で要件となっている法律要件に該当する事実関係です。例えば、貸金の返還を請求する場合は、一般的に、①金銭を交付したこと、②返還を合意したこと、③弁済期日の合意、④弁済期日の到来、という4つの要件に該当する事実関係を記載することになります。
【簡易裁判所への訴えの提起】
紛争の対象となっている金額が140万円以下の事件等は、簡易裁判所に訴訟を提起します。
簡易裁判所は、少額軽微な事件を、簡易な手続によって迅速に解決するために設けられた第一審裁判所であり、民事訴訟法では、簡易裁判所の訴訟手続に関する特則がおかれています(法270条以下)。
この観点から、民事訴訟法は、訴え提起について、「訴えは、口頭で提起することができる」と定め(法271条)、訴えの提起においては、「請求原因に代えて、紛争の要点を明らかにすれば足りる」と定めています(法272条)。
そのため、簡易裁判所の対象事件で、当該裁判所に訴訟を提起する場合には、書面を準備する必要はなく、また、その内容も、法律構成をする前の争点を要約することで足りることになります。