国選弁護事件における訴訟費用の負担

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「国選弁護事件における訴訟費用の負担」についての解説です。

【国選弁護制度とは】

 国選弁護制度とは、被疑者・被告人が貧困などの理由で私選弁護人を選任することができない場合に、国がその費用で弁護人を付することによって、被疑者・被告人の権利を保障する制度です。

 被疑者の場合は、①被疑者に勾留状が発せられているか勾留を請求されていること及び②貧困その他の事由により弁護人を選任できないことが、国選弁護人の選任の請求の要件となっています(刑事訴訟法37条の2第1項2項)。

 また、被告人の場合は、貧困その他の事由により弁護人を選任できないことが、国選弁護人の選任の請求の要件となっています(刑事訴訟法36条)。

 そして、「貧困その他の事由」は、具体的には資産が50万円を下回る場合です。ただし、資力要件を満たさない場合でも、私選弁護人を選任できない場合には、国選弁護人が被疑者・被告人に選任されます。

【訴訟費用の負担】

 訴訟費用とは、国選弁護人への報酬、裁判に出廷した証人や通訳の旅費・日当などの費用のことをいいます。

 そして、刑事訴訟法は、「刑の言い渡しをしたときは、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない。」と規定しているため(刑事訴訟法181条1項柱書)、被告人は、原則として、訴訟費用を負担しなければなりません。一方で、刑事訴訟法は、「但し、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することのできないことが明らかであるときは、この限りでない。」と規定しており(刑事訴訟法181条1項但書)、裁判所の合理的裁量のもと、訴訟費用を負担させないこともできます。

 この点、国選弁護人を選任した被告人の多くの人は、資力が十分でないことから、貧困等により訴訟費用を納付することが困難な場合が多く、国選弁護人を選任した被告人は、訴訟費用を負担しないことが多いと思われます。

 しかし、被告人が訴訟費用を負担しなくてよいのは、あくまで裁判所の裁量によるものです。

 そのため、被告人に資力はあるが私選弁護人が選任されなかったために国選弁護人を選任した場合や執行猶予付きの判決や罰金の判決が下された場合で社会復帰により相応の資力が見込まれる場合には、原則通り、被告人に訴訟費用を負担させることもあります。

【訴訟費用の免除の申立て】

 被告人の訴訟費用の負担については、刑事訴訟法は、貧困のため完納することができない場合に、訴訟費用の全部又は一部について、その裁判の執行の免除の申立てを認めています(刑事訴訟法500条1項)。なお、申立ては、訴訟費用の負担を命ずる裁判が確定した後、20日以内にしなければなりません(刑事訴訟法500条2項)。

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