飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「履行勧告・履行命令」についての解説です。
養育費の分担に関する調停や審判が成立した後、当該調停や審判の内容を守らない方が一定数います。
養育費を確保する方法としては、強制執行の手続を行うことが考えられますが、相手方の財産(預貯金や就労場所)が分からないといった理由や経済的な理由で、養育費の支払を求めることを諦める方もいるかと思います。
また、離婚後であることから、相手方と連絡を取りたくない、相手方と連絡を取るのが怖いなどの理由で、相手方との直接交渉を諦める方もいるかと思います。
この点、相手方に養育費の支払を強制させるものではありませんが、家庭裁判所が行う履行確保の手続きとして、「履行勧告」「履行命令」の手続があります。
「履行勧告」とは、申立人の申出により、家庭裁判所が、相手方へ、調停や審判で定めた内容を履行するように、説得したり、勧告したりするものです(家事事件手続法289条1項)。
「履行命令」とは、養育費のように金銭の支払を目的とする場合に、申立人の申出により、家庭裁判所が、相手方に履行命令を行います(家事事件手続法290条1項)。この履行命令に関しては、相手方が正当な理由なく履行命令に応じない場合には、10万円の過料に処せられる可能性があります(家事事件手続法290条5項)。
なお、「履行勧告」及び「履行命令」の手続は、いずれも費用がかかりません。