飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「特別養子縁組」についての解説です。
特別養子縁組とは、子どもの福祉の増進を図るために、養子となる子どもとその子どもの実親(生みの親)との間の法律上の親子関係を解消し、養子と養親との間で、実子と同じ親子関係を結ぶ制度です(民法817条の2第1項)。
なお、特別養子縁組成立後の離縁は、原則として禁止されています(民法817条の10)。
特別養子縁組は、実親と養子との親子関係を解消するものであることから、以下の要件を満たした上で、養子となる子どもの監護が著しく困難または不適当である等の事情がある場合において、子の利益のため特に必要であると家庭裁判所が許可したときに成立します(民法817条の2以下)。
そのため、特別養子縁組を成立させるためには、養親となる者の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、特別養子適格の確認の審判と特別養子縁組の成立の審判を申立てる必要があります。
【要件】
①実親(父母)の同意(民法817条の6)
原則として、父母の同意が必要となります。
ただし、実父母がその意思を表示できない場合又は、実父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる子どもの利益を著しく害する事由がある場合には、実父母の同意が不要となる場合があります。
②養親の年齢と家族構成(民法817条の3・817条の4)
特別養子縁組を行う場合には、夫婦共同で養親となる必要があるため、養親となるためには、配偶者のいる者(夫婦)でなければなりません。また、養親となる者は25歳以上でなければなりません。
なお、養親の一方が25歳以上である場合には、他方の養親は20歳以上であれば、この要件を満たします。
③養子の年齢(民法817条の5第1項・2項)
養子となる子どもの年齢は、上記申立を行うときに15歳未満でなければなりません。ただし、子どもの年齢が15歳に達する前から養親になろうとする者の下で監護されている場合、子どもが18歳になる前までは、申立を行うことができます。
④6か月以上の監護(民法817条の8)
特別養子縁組が成立するためには、養親となる者が養子となる子どもを6か月以上監護していることが必要です。
そのため、特別養子縁組が成立する前に、裁判所の判断の下、養親となる者と養子となる者は試験養育を行うことになります(家事事件手続法164条・164条の2)。
なお、試験養育が上手くいかなかった場合には、特別養子縁組成立の審判は却下となります。