飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「子の監護者指定審判の申立て」に関する解説です。
離婚調停に先立って、子の監護者指定調停(又は審判)の申立てがなされるケースがあります。
この点、大阪家裁平成26年8月15日審判(判タ1418号394頁)では、父母双方に同等程度の養育監護状況があり共同監護のような状態にあり、現在の共同監護のような状態がそれなりに安定しているとして、監護者指定の必要性はないとされ、妻の申立てが却下されています。
同様に、共同監護が適切に行われているような状態にあるときは、子の福祉の見地から、父母のいずれか一方を監護者として定めることは相当でないとして、監護者の指定の必要性が否定された事案としては、金沢家裁七尾支部平成28年2月8日審判(判タ1431号123頁)があります(原審判で申立てが却下された後、即時抗告審では、原審判後の状況もふまえて判断すべきとして、原審判が取り消され、差し戻されています。)。同事案では、共同監護状態が1年半以上継続し、安定していると評価されています。
このような事案がある以上、そもそも子の監護者指定の必要性があるか否かについても検討しておく必要があることになります。
とはいえ、父母間の争いが激しくなり、父母双方による同等程度の監護状況の継続が望めないような場合であれば、父母のいずれか一方を監護者として指定する必要性が高くなるものと考えられます。
なお、審理の結果、相手方が監護者として相当となった場合には、①却下する裁判例が多いものの、②相手方を監護者に指定する裁判例(広島高決平成19年1月22日、東京家裁平成22年5月25日)もあります。