飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「離婚後の単独親権と共同親権」についての解説です。
「親権」とは、父母が未成年の子を監護・養育、財産管理、代理し、その他法律行為を行う権限のことをいいます。日本の民法において、夫婦が婚姻している場合には、その間の子の親権は共同で行使されることになっています(共同親権の原則(民法818条1項))。一方で、夫婦が離婚した場合には、子の親権は父母の一方にのみ付与されることとなります(単独親権(民法819条1項、同2項))。
なお、日本では離婚後の単独親権者になるのは、8割以上が母親側です。
この離婚後の単独親権制度に対しては、親権を喪失側の親が子に関与する機会を失うとか、親権者側が子の面会を実現しないなどの弊害が指摘されています。他方で、共同親権制度も、両親の意見が食い違った場合に親権行使が困難になることや、子が2重生活を強いられる可能性があるという点などが指摘されており、双方の制度に問題点があるといえます。
ちなみに、欧米諸国では、離婚後共同親権の制度を採用している国が多くあります。 この離婚後共同親権制度については、平成23年の衆議院法務委員会において、離婚後の共同親権が検討される旨の付帯決議がされています。また、令和元年4月には、法務省が、外務省を通じて外国の離婚後共同親権制度の運用実態についての調査をすることが明らかになっています。現在でも、政府は離婚後の共同親権については慎重な検討を要するとの姿勢ですが、実施に向けての検討は進んでいるようです。
そして、現行の離婚後単独親権制度に対して、令和元年3月に東京都に住む男性が、民法で離婚後の単独親権制度を定める部分が憲法14条の法の下の平等に反し違憲・違法であるとして、立法不作為に基づく国家賠償請求を提起しています。また同年10月にも、別の男女7名が同様の裁判を起こすとの報道もされています。