離婚の件数

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「離婚の件数」についての解説です。

 まず、夫婦が離婚する際には大きく分けて①夫婦の合意に基づく(協議離婚)場合と②裁判所の手を借りる(調停離婚、裁判離婚など)場合に分けられます。日本では離婚に際しては調停前置主義(家事事件手続法257条)が採用されていますから、協議離婚が成立しない場合には、離婚調停そして離婚訴訟へと発展していきます。

 ここで、令和元年度の厚生省の人口動態と裁判所の司法統計等のデータを参考に、①②の両者の差を見てみます。

 まず、令和元年度の離婚の総件数は20万8496件でした。このうち、離婚調停に付されたのが4万3482件で、その中で調停離婚が成立した件数は2万1895件でした。なお、調停中に協議離婚が成立したことにより取り下げられたのが2717件でした。

つまり、1年に起こる離婚の20万件あまりのうち、調停や裁判などで裁判所を利用する離婚は4万件余りですから、6件に1件程度の割合の人が、離婚に際して裁判所を利用することになるということです。

また、裁判での離婚訴訟にすすむ事件は7829件で、そのうち認容判決が2743件、何らかの和解で終了した事件が3494件ありました。
つまり、離婚訴訟の場面にまでいく事件においては、約8割程度で認容判決または和解で何かしらの解決が図られ、残りは、棄却や取り下げという結果になります。

 以上からすれば、離婚に際して当事者間の協議が調わない場合には、調停や訴訟を通じて離婚が実現する事案が大半であるといえますが、離婚訴訟にまで至った場合においても、請求が認められない事案も少なからず存在するといえます。

 離婚という手続きは、婚姻の際とは比較にならないほどに大変で複雑なものとなります。特に、調停や裁判まで進んでしまうような事案では、当事者同士の話し合いだけでは解決に向かわないこともあります。そのような場合には、第三者である専門家を交えた解決が一番の近道になるといえるでしょう。

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