飯塚市の小島法律事務より、弁護士による「相続税と基礎控除」についての解説です。
被相続人が死亡して相続が発生する場合によく耳にする相続税ですが、この仕組みを詳しくご存じの方は、意外と少ないかと思います。
そこで、今回は相続税に設けられている制度の中で最も基本かつ重要な「基礎控除」について解説します。
まず、相続税は、課税価格の総額から基礎控除を差し引いた額(課税遺産総額)に、相続税率を乗じて導かれます。課税価格とは、簡単にいえば、相続や遺贈を受けた財産から、債務や非課税財産を差し引いた価額(総資産)に、3年以内の贈与等を加えたものをいいます。
課税価格が基礎控除額に満たなければ、相続税は課税されないため、基礎控除額がいくらになるかの把握が重要なのです。
そして、基礎控除額は、2020年9月現在、3000万円に、相続人の数×600万円を加えた金額です。なお、従前は、5000万円に相続人の数×1000万円を加えた金額だったのですが、平成27年から増税され、今の金額になっています。
以上を前提に、具体例で見てみましょう。例えば
【遺産として現金預金が4000万円、借金がなく、死因贈与や遺贈等がないケースで、相続人が2人いるケース】を想定してみます。
このケースでは、相続税の基礎控除額は3000万円+(600万円×2人)=4200万円になります。他方、課税価格は4000万円から4200万円を差し引いたものですので、-200万円です。つまり、基礎控除額が課税価格を上回っていますから、このケースでは相続税が課税されないことになります。
今回取り取り扱ったのは、非常に簡単なケースです。実際には、基礎控除の枠に加えてさまざまな特例(小規模宅地等の特例など)があったり、課税価格を算出することが困難な場合もあり得ます。そのような場合には、税制度に明るい専門家に相談されることをお勧めします。