飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「成人年齢の引き下げ」についての解説です。
平成30年6月に、「民法の一部を改正する法律」が成立しました。これにより、令和4年(2022年)4月1日から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられます。
ちなみに、この施行に先立って、選挙の投票の年齢(公職選挙法9条1項)や、憲法改正にあたっての国民投票の年齢(日本国憲法の改正手続きに関する法律3条)が18歳に引き下げられていることは、皆さんのご記憶にも新しいと思います。
成人年齢の引き下げによって、18歳を超えた者は、行為能力(単独で契約などの有効な法律行為をなしうる資格)を付与され(民法5条以下)、親権による監督(民法818条1項)にも服さなくなります。
つまり、18歳を超えた者は、自己の権利と責任において、契約の締結などの法律行為を、単独で自由に行うことができるようになります。 一方で、アルコールの摂取や喫煙は、別の法律によって20歳未満は禁じられているので(未成年者飲酒禁止法1条1項、未成年者喫煙禁止法1条)、成人年齢の引き下げによってもこれらが変わることはありません。
もっとも、飲酒喫煙も成人年齢引き下げに併せて下げるべきだとの議論もあります。諸外国の例をみると、成年となるのは18歳が多く、その成年に併せて飲酒・喫煙を認めるという国が多いようです。
ちなみに、皆さんがご存じのとおり、婚姻できる年齢は現行法では男子18歳、女子16歳ですが(民法731条)、今回の改正により、両者とも18歳に統一されます。
したがいまして、結婚に伴って未成年者が成年者と同じ行為能力を持ついわゆる「成年擬制」の考えは、18歳が成人年齢とされる改正法の施行後には、出番がなくなるということになります。