飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「拘禁刑」についての解説です。
令和4年6月13日に、「拘禁刑」を創設する改正刑法が、成立しました。
刑の種類の変更は、明治40年(1907年)の刑法成立以来、初めてです。
この改正刑法により、懲役と禁固の刑が廃止され、新たに「拘禁刑」が新設されます。
改正刑法が成立するまでの刑の種類は、生命刑として死刑、自由刑として懲役、禁固、拘留、財産刑として罰金、科料の6種類でした(刑法9条)
懲役と禁固は、いずれも、受刑者を刑事施設に収容する点は同じですが、懲役には刑務作業義務が課されるのに対して、禁固には同義務が課されない点に違いがあります。
そして、刑務作業とは、刑事施設(刑務所、少年刑務所、拘置所)において、所定の作業を行わせることです。具体的には、生産作業(物品などの制作など)、社会貢献作業(公園の除草作業など)、職業訓練(出所後の社会復帰のため、知識や技能を取得)、自営作業(炊事・洗濯など、受刑者の生活に必要な作業)などです。
この点、刑務作業は1日8時間程度行うことが多く、刑務作業の存在により、受刑者は更生プログラムに時間が割けないなどの支障がありました。
また、入所受刑者の割合は、99.7%が懲役、0.3%が禁固と少なく、禁固受刑者の多くが希望して刑務作業を希望していたとの実態がありました。
拘禁刑は、刑務作業義務が課されません。そのため、拘禁刑が新設されることにより、若年受刑者は更生教育の比重を高めたり、高齢受刑者は福祉支援を高めたりするといった、個人の特性に合わせた処遇が可能となります。
そして、このような柔軟な処遇により、再犯防止が高まることが期待されます。
なお、改正刑法は、2025年に施行することが予定されています。