起訴前の鑑定

 飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「起訴前の鑑定」についての解説です。

 刑事事件の被疑者・被告人の刑事責任能力が問題となる場合、その精神状態を調べ、犯行時の被疑者・被告人に刑事責任能力が備わっていたか、確認する必要があります。

 この点、検察官は、起訴前に、被疑者の精神鑑定を実施することがあります。

 起訴前の鑑定には、正式鑑定と簡易鑑定があります。

 簡易鑑定とは、鑑定留置を行わず、勾留期間内に被疑者の同意を得て比較的短時間の診察を行い、その結果に基づいて鑑定書が作成される鑑定方法のことをいいます。

 正式鑑定とは、刑事訴訟法に基づき、裁判官からの鑑定留置状を得て行われる鑑定方法であり、病院や拘置所に留置し、医師が継続的に診察する形で行われます。

 そして、鑑定留置とは、被疑者や被告人の心神または身体に関する鑑定をさせるについて必要があるときに、裁判所が期間を定めて、病院その他の相当な場所に、被疑者または被告人を留置することをいいます(刑事訴訟法第167条1項、223条1項、224条1項)。

 鑑定の実施期間については、簡易鑑定が2、3日で行われるのに対して、正式鑑定は、被疑者を2、3か月にわたって行われることが多いです

 なお、正式鑑定で鑑定留置が行われる場合、勾留の執行は停止されますので、鑑定留置の期間中は、取調べが行われることはありません。

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