この度、自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインの登録支援専門家に登録したしました。
今回は、飯塚市の弁護士が「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」について説明します。
以下では、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」を「自然災害債務整理ガイドライン」といいます。
【自然災害債務整理ガイドラインとは】
日本では、地震、台風、豪雨や火山の噴火等の様々な自然災害が起こります。
被災者の中には、命が助かったものの、住む家や働く場所を失い、さらに住宅ローンや事業におけるローンなどの債務が残ってしまう場合があります。
もし、この債務の返済ができなくなった場合、債務整理の方法としては、通常、破産や民事再生の法的手続が考えられます。
しかし、破産や民事再生の法的手続を行った場合、債務整理を行った事実が、個人信用情報いわゆるブラックリストに登録され、一定期間、再度の借り入れやクレジットカードの作成ができなくなります。
自然災害債務整理ガイドラインは、自然災害の影響によって、住宅ローン等を借りている個人や事業性ローンを借りている個人事業主が、一定の要件を満たした場合に、破産や民事再生の法的手続によらずに、債権者と債務者の合意に基づき、債務整理を行うものです。
【自然災害債務整理ガイドラインのメリット】
自然災害債務整理ガイドラインを用いた場合、以下のメリットがあります。
①ガイドラインを用いた場合、個人信用情報に登録されません。
②国の補助により弁護士等の「登録支援専門家」が手続を支援します。
③債務者の被災状況や生活状況などの個別事情によっては、預貯金などの財産の一部を手元に残すことができる場合があります。
【手続の簡単な流れ】
1 最も多額の借入を行っている金融機関に、自然災害債務整理ガイドラインに基づく手続に着手することを申し出ます。
2 この申し出に対して、金融機関から手続着手の同意を得られた場合、地元の弁護士会などを通じて、全国銀行協会に対し、登録専門家による手続支援を依頼することになります。
3 そして、債務整理の対象としようとする全ての金融機関等の債権者に対して、債務整理の申し出を行います。
4 各債権者への債務整理の申し出が済むと、次に、登録専門家による支援を受けながら、ローンの免除や債務の減額といった債務整理の内容を盛り込んだ書類(「調停条項案」)を作成します。
5 調停条項案の作成した後は、登録支援専門家を経由して、ガイドラインに適合する「調停条項案」の対象となる全ての金融機関等へ、調停条項案を提出し、その内容を説明します。
6 対象となる全ての金融機関等から同意が得られた場合、簡易裁判所に特定調停の申立てを行います。
7 特定調停手続により調停条項が確定すれば、債務整理が成立します。