飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「法学部法曹コースの設立」についての解説です。
令和2年4月頃から開始の予定となっており、司法試験制度改革の一環として関係者の間で話題になっている制度に、法学部に「法曹コース」を設立するというものがあります。
この「法曹コース」とは、大学の法学部に新たに設立されるコースで、いわば「飛び級」が可能な特殊なものになっています。
通常、法学部は他の学部と同様(医学部、薬学部は除きます)、卒業までの日数は4年間です。しかし、法学部で法曹コース選択した人は、3年間で大学を早期に卒業したうえで、当該法学部と協定を結んでいる法科大学院の既修コース(2年次)へ編入することが可能となるというものです。もちろん、法科大学院への進学が前提ですから、3年間で法学部を卒業したからといって、そのまま就職したりすることはできません。
この点、現在の制度では、司法試験を受験するためには4年制大学を卒業後、法科大学院に進学・卒業して初めて受験資格を得ることができます(予備試験を除く)。法科大学院は、最短である既修コースでも修了までに2年かかります。司法試験受験までに、大学と大学院を併せて6年以上かかる計算で、受験者に重い時間的・金銭的負担を負わせるものとなっています。
ですので、法曹志望者は、法曹コースを選択することによって、受験までに必要な大学・大学院での期間が、6年間から5年間へ短縮することが可能になります。
もちろん、法曹コースは希望者なら誰でも選択できるわけではありません。大学によって異なると思いますが、法曹コース選択の際はもちろん、選択後も、内部試験が行われたり、進級の判定を厳格化するなど、通常の4年コースと比較して厳しい進級・卒業要件を科されることになります。 さらに、3年間で卒業した場合でも、協定先の法科大学院の科す試験(入試試験や面接試験、在学時の成績が参照されるかと思います)を、合格する必要があります(仮にその段階で不合格になったような場合、その学生がどういう扱いになるのかは不明です)。
つまり、法曹コースを選択し法科大学院へ進学する方法は、非常にハードルは高いものとなると予測されます。
ちなみに、例えば、九州内で既に法科大学院の募集が停止になっている熊本大学法学部を例にすると、令和元年11月、早稲田大学と中央大学との間で法曹養成連携協定を締結し、法曹コースを共同して運用していくとしています。さらに、今後は九州大学と神戸大学とも同様の協定を締結する予定のようです。