交通事故の入通院慰謝料別表Ⅰと別表Ⅱについて

交通事故の入通院慰謝料について、「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)」では、傷害慰謝料の算定について、原則として「別表Ⅰ」を使用するとされています。ここで、別表Ⅰと別表Ⅱの違いについて述べますと、要するに、別表Ⅰの方が慰謝料が高くなる(=別表Ⅱの方が慰謝料が低くなる)ということです。ですから、被害者側としては「別表Ⅰ」によることを主張したいところです。

ただ、上記書籍では、「むち打ち症で他覚症状がない場合は別表Ⅱを使用する」と書かれています。どのような事案が別表Ⅱになるのかというのは、この記載からは、はっきりしません。たとえば、むち打ちでなく「外傷性頸部症候群」ならどうか、「打撲」ならどうか「挫傷」ならどうかなど、判断に迷うことがあります。この点については、実は、診断書を斜め読みしただけではわからないことが多いです。

別表Ⅰによるべきかそれとも別表Ⅱによるべきかという判断をする際には、これまでの裁判所の傾向を知ることや、カルテの精査が必要になってきます。 私自身、これまでに、被害者側で別表Ⅰで慰謝料を主張したところ、加害者側から別表Ⅱによるべきとの反論を受けたことが何度もあります(その中のいくつかの事案では別表Ⅰによることが認められました。)。そのような場合には、被害者の症状を医学的・法律的に分析して、裁判所に伝えることが必要になるのです。

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