飯塚市の小島法律事務所より、弁護士による「O-157と食品衛生法改正」についての解説です。
今月に入って、福岡市の4歳の男児から「O―157」が検出されたというニュースがありました。この点、下痢などの症状を起こす大腸菌のグループを「病原性大腸菌」といい、そのうちの危険性の高い「腸管出血性大腸菌」の代表例が「O-157」です。このうちの「O」とは細菌の細胞壁に「O抗原」を有することを意味し、「157」とはこのO抗原を持つ大腸菌のうち、157番目に発見されたことを意味します。
「O-157」は熱に弱く、75度で1分間加熱すると死滅するものの、低温には強く、冷凍しても殺菌できない点が特徴です。通常は汚染された食べ物を摂取することで感染し、4~8日間程度の潜伏期間を経て、食中毒等を発症します。
その対策のため食品衛生法が改正され、皆さんのご記憶にも新しいと思いますが、平成24年7月から、特に危険性の高い牛や豚のレバー、豚肉(内臓含む)の生食での飲食店、販売店による提供、販売が禁止されました。加熱用のレバー等を提供する際には、店側に中心部までよく焼くように指導する義務があります(食品、添加物等の規格基準第1食品の部B食品一般の製造、加工及び調理基準第9項)。
この法律に違反して生食の提供などをした飲食店・販売店は、保健所による調査を経て、営業許可の取消や停止といった行政処分を受けるおそれがあります。また、提供者や店舗が懲役や罰金といった刑事罰を科されることもあります。